笑顔の効果

 

 

From 石原 達哉

地元の駅前の喫茶店より

 

 

飲食店の4月・5月は大変そうですね。

 

今までしっかりとお店を回してくれていた
学生アルバイトの多くが入れ替わってしまうので、、。

 

地元の駅前の喫茶店も同様です。

 

毎日、朝も晩も、
店長がカウンターに立ち
お客様を捌いています。

 

「店長、毎日大変そうですね。」

 

顔なじみになっている店長に
そんな質問をしました。

 

すると

  
「今、面接をしているので
あともう少しで楽になると思います」

 

と笑顔で答えてくれました。

 

そんな会話から約1ヶ月が経ちました。

 

人が少なく、
おちついている
平日の午前中にくらべ、

 

土曜日の今日は、
11時前くらいから
とても盛況です。

   
そして、
フロントに一人、
見慣れない男の子がいます。

 

メガネをかけた背の高い
真面目そうな子です。

 

おそらく大学生でしょう。

 

胸には若葉マーク入りで新人という
ネームプレートをつけています。

 

彼のことを勝手に”マジメくん”と
呼ぶことにします。

 

その横に、
少しムッとした顔をして
テキパキと注文を捌く、
女性スタッフがいます。

 

彼女だっておそらくまだ
3ヶ月程度だと思います。

 

彼女のことをムッちゃんと呼びます。

 

ムッちゃんは、さっきまでは
マジメ君の後ろにいて、

 

カップに氷を入れ、
アイスコーヒーをついだり、

 

ドリップマシーンにカップをセットして
ホットコーヒーを注いだり、

提供する飲み物を作る担当をしていました。

 

しかし、
列が長くなってきたのを見かねてでしょう、
とうとうカウンターの前面に出てきました。

 

そしてマジメくんの横に立ち、
お客さまの注文を聞き、
レジを打ち、自分で飲み物を作りだしました。

 

状況を判断した上での、
その対応は素晴らしいと思います。

 

しかし、ダメなんです。

 

何がかといえば、、、

 

顔の表情です。

本当にムスっとしているのです。

 

ムスっとしながら、
テキパキと手を動かす様を見ていると

 

新人のマジメ君に対して

「使えないやつだな〜。
 ノロノロすんなよ。
 こんなにお客様が並んでしまっただろ〜。」

 

彼女が何を考えていたかはわかりません。

きっとそんなことは考えていないでしょう。

しかし、私には、

「このハゲ〜!」で一躍有名になった

あの豊田議員のような声で、

 

「使えね〜な。さっさとやれよ〜!」

 

みたいなことを思っているように

ように見えてしまったのです(笑)。

 

 

一方で、マジメ君は一歩脇にそれ、
先輩のムッちゃんの手際の良い作業を、
少しうつむき加減でただ見つめるだけ、、

 

とても申し訳なく感じているように見えました。

ちょっと可哀想だと感じてしまいました。

 

しかし、彼の視線は
ムッちゃんが打ち込むレジのボタンを見ています。

 

どうやら彼はレジのボタンがまだわからなくて
マゴマゴしてしまっているのでしょう、、

目は真剣にどのボタンを押すのかを追いかけていました。

 

 

しばらくして
お客さまの列がなくなると、
ムッちゃんは、
マジメ君に話をしながら、丁寧に教えていました。

 

先輩としては、
早く彼に覚えてもらわないと自分が大変です。

だからかわかりませんが「後輩に教えること」は
自分の仕事であるという認識は
きちんとお持ちのようでした。

 

 

 

人には2種類の人がいます。

 

一つは、
忙しい時にピリピリして
「私は今、忙しい!」ビームを周囲に出しまくる人
と、

 

たとえ忙しくても、笑顔を忘れず
「何、どうした?? 何か手伝う?」と
悠然と構えて対応することのできる人。

 

もし私が部下だったら、、、
もし私がお客様だったら、、、、
もし私が第三者でいたとしたら、、、

 

どの私から見ても、
後者の人の方が素敵だなと思います。

 

そして私も後者の人でありたいと思います。

 

 

ムッちゃんへ、、

あなたの判断は悪くはありません。

状況把握も的確です。

そして教えようとする姿勢も素敵です。

 

だけどね、、。

勿体無いと思いますよ。

 

次回からは一言、

「列ができちゃったから、ちょっと私がやるね。」
と言ってから手伝おうね。

そして、笑顔!!
どんなに忙しくても、お客様に対しての笑顔は忘れちゃダメだよ。

 

笑顔でやるだけであなたの見え方は180度変わると思うよ!!

 

 

そしてマジメ君へ

めげずにがんばれ!

 

彼にも彼女には届きませんが、

そんな独り言を頭の中でつぶやいて

コーヒーを手に席に座りました。