監督はいったい何をしたのか、、、

 

From 石原 達哉
自宅の書斎にて

 

 

いよいよ西野ジャパンは、

予選リーグの突破をかけたポーランド戦ですね。

 

本番2ヶ月前の監督交代という

異例の事態から

世界を驚かす今に至るまで

 

指揮官である西野監督が

いったい何をやったのか?

 

録画したままだった
NHKの

『這い上がれ!西野ジャパンの30日』

という番組を見てみました。

 

さすがにNHKです。

とてもよく纏まっていました。

 

 

 

W杯直前の強化試合、

ガーナ戦、スイス戦と連敗し、

ハリルホジッチ監督の時から

5試合勝ちなしのスタートでした。

 

 

記者の

 

「西野監督は今のこのチームの状態について

 危機感を感じておられますか?」

 

という質問に対して

 

「なぜ、ネガティブになる必要があるのか?

 毎試合選手たちは非常にトライをしている。

 結果だけを見たらそうかもしれないけれども、

 選手を含め私もマイナスイメージを持っていない。

 よいチャレンジができている」

と言い切っていました。

 

西野監督は、この時、

選手たちに例え話をしていたとのこと。

 

「白鳥も水の上では優雅に泳いでいるけれども

 水面下では醜いくらい足をバタバタばたつかせている。

 蓮の花も綺麗に咲いているが

 水の下は根っこがグチャグチャと張っている。

 

 一つのワンプレービッグパフォーマンスを出すにも

 もがいていろいろな試行錯誤して、

 それをやって初めてそういう瞬間が得られるのだ」

 と。

 

 

日本が勝つためにどうしたら良いか?

短期間でどのような準備が必要か?

 

ハリルホジッチ前監督が掲げていたのは

ボールを奪ってから敵の守備の陣形が整う前に

いかにゴールを奪えるかという

「縦に速い攻撃」でした。

 

それは世界のサッカーの潮流であり、

”75%のゴールがカウンターや速攻から

挙げられている”

というデータに基いた戦術です。

 

 

しかし、西野監督は、

今回のコロンビア、セネガル、ポーランドという

対戦相手を見て、

屈強な彼らの体格や

優れた運動能力の相手に対して

それだけでは勝てない

と考えたそうです。

 

 

前監督がやってきたことの継承と、

それに加えること。

 

自分たちの強みや得意なこと、

今まで通用してきたものは何なのかを考え

もう一つの戦術として加えたのが

「パスで崩す攻撃」

でした。

そして

今まで練習してこなかった

早いパスをつなぐ練習を

徹底的に繰り返したそうです。

 

 

予選リーグを突破する。

その為には

初戦のコロンビアを倒し

ジャイアントキリング

(大番狂わせ)を起こす。

 

スタッフとともに

入念にコロンビアを分析します。

 

誰がキーマンか?

キーマンのプレイの特徴は?

そのキーマンをどうやって潰せるか?

 

コロンビアが負けた対韓国戦を分析し

キーマンであるハメス・ロドリゲスの強みを

消すための戦術を考え

その役割を長谷部選手に託したとのこと。

 

 

西野監督といえば

22年前のアトランタオリンピックで

日本がブラジルに勝った

”マイアミの奇跡”を起こした時の監督です。

あの試合の前

西野監督は、

ブラジルの選手一人一人の強みと弱みを模造紙に書き、

食堂に、リラックスルームに貼り出していたそうです。

そして、

実際のプレイの映像をミーティングで何度も何度も見せ、

選手の頭の中は

それがこびりついて離れない状態になっていたとのこと。

 

ゴール前のフリーキックを

スーパーセーブして止めた

キーパーの川口能活選手も

 

「実は、壁でボールが見えなかった。

しかし、彼が蹴るコースはここだと

瞬時にイメージが湧いて体が反応した」

 

と言っていますし、

 

ボールをゴールに押し込み

得点をした伊藤輝悦選手も

「ブラジルの守備の連携が乱れるのは

こういう瞬間だというイメージがあり

ゴール前に詰めた」

と言っています。

 

西野監督や

選手たちに言わせれば

”奇跡”でも”まぐれ”でもない、

徹底的な準備と練習の下、

勝つべくして勝ったと

いうことなのです。

 

 

今回も西野監督は

戦術を描き

それを選手と共有して

そのイメージまでを共有し

練習と強化試合で

 

誰が一番上手くそれができるか?

その選手同士の組み合わせが

最も機能するかを

ずっと見極めていたのでしょう。

 

 

それが今回のスタメンであり、

選手交代のドンピシャの采配に

なっているのだと思います。

 

 

たとえ時間が短くても

ネガティブにならずに

目的を見据え

準備をする

 

結果に一喜一憂するのでなく

プロセスをテストする。

試行錯誤を繰り返す。

 

 

戦う相手をよく研究し

どうしたら勝てるかを考える。

 

 

今までのやってきたことの継承と

新しく付け足せることはないか?

それを自分たちの強みの中から見い出す。

 

 

そして、

ひとりひとりの選手に機会を与え、

その動きをよく見て、

誰にどの役割を与えるのが

一番イメージに近づけられるか?

その配置と組み合わせを考える。

 

 

指揮官として西野監督がやったこと。

 

会社組織を率いる我々にとっても
たくさんの学びがあるように思います。

 

FIFAランキング61位の西野ジャパンが

8位の強豪ポーランドに対して、

またどんな素晴らしい試合を見せてくれるのか、

今夜、とても楽しみです。