目標がある人生とない人生

From 石原 達哉

地元の喫茶店にて

 

 

高橋大輔選手が現役復帰を宣言しました。

32歳、実に4年ぶりだそうです。

とても大きな決断だと思います。

 

 

いったい彼に何があったのでしょう?

 

彼が復帰を決めたのは

昨年の12月、

 

平昌オリンピックの代表を決める

全日本選手権で解説として

選手の滑りを見ていた時だと

言っています。

 

 

中でも一人の選手の演技が

彼に大きな影響を与えたとのこと。

 

 

その選手とは、山本草太選手(当時17歳)。

 

Jr.時代に4回転ジャンプや

トリプルアクセルを武器に

世界大会でもメダルを取り、

 

あの宇野昌磨選手としのぎを削り

平昌の有力候補と言われた選手だそうです。

 

 

しかし怪我が彼を襲いました。

 

2度の右足首の同じところを骨折、

3回の手術と長いリハビリを経て、

2年ぶりの全日本選手権に

彼は戻って来ました。

 

リハビリ明けから間もない

地区予選である中部選手権では、

まだ1回転ジャンプしか

飛べなかったとのこと。

 

そんな状態で、西日本選手権も勝ち進みました。

 

そして

全日本選手権では

3回転ジャンプを飛んだそうです。

 

 

 

「世界で勝たなければ意味がない」

と考えていた高橋選手は、

 

この演技を見て

「それぞれの目標や思いのために

 頑張ることもありだし

 それでいいんじゃないかと思えた」

 

と現役に戻る決断をしたそうです。

 

 

膝の状態が悪くソチ五輪の直後の

世界選手権に出るのをやめ

そのまま引退してしまったことに、

心残りがあったんだと

その時に初めて気がついたそうです。

 

引退して4年目にして

自分がやりきれていなかった

ことに気がついたと言っていました。

 

 

 

昨年、幾つかの企業で

ベテランの社員を対象に

”やる気エンジン再着火研修”を

実施させていただきました。

 

 

私は参加者の皆さんに聞きました。

 

「人は目標がないとどうなるか?」

 

返ってきた答えは

 

「目標がないと怠ける。」

「怠惰になる。」

「何に向かってかんばれば良いかわからないから努力しなくなる。」

「毎日がハリがなく、つまらない」

「ダメになる。」

 中には

「死ぬ」という意見を言う人もいました。

 

 

では

 

「目標を持つことの意味は?」

 

という問いに対しては

 

「毎日が充実する。」

「それに向かって努力する。」

「生活にハリができる」

「やりがい、生きがいになる」

 

という答えが返ってきました。

 

 

ではあなたの今の目標は?

 

と聞くと

曖昧な答えしか返って来ませんでした。

 

 

彼らは口々に言っていました。

「若い奴が上に来たから、もう自分には役割がない。」

「下を指導する立場にない。」

「ポストにつけなかった自分にはあまり価値がない。」

・・・

 

何かをきっかけに

勝手な解釈をして

自分で諦めてしまっている。

自分に言い訳を作っているように聞こえました。

 

 

高橋選手は言っています。

「世界で戦うことは無理だと思う。現時点での目標は

 全日本選手権のリンクの上に立つこと」

そして

高橋選手を中学の時から指導している

長光歌子コーチは言いました。

 

「彼の現役復帰の話は
 今年一番の嬉しいサプライズだった。

 結果がどうであれ、彼が目標に向かう

 そのプロセスを一緒に過ごせることが嬉しい」

と。

 

目標は達成することも大事。

しかしそれよりも、

それを掲げることで

毎日がキラキラできるのだ

と、以前、誰かに教わりました。

 

 

 

結局、人は皆、何かに夢中になりたいし、

何かの目標を追いかけたいのです。

 

でもそれは

残念ながら会社の数字ではありません。

 

自分が成長すること。

誰かに喜ばれること。

誰かの役に立つこと、、、

 

自分には価値があると思えること、、

 

自分が意味を感じられる目標に向かって
頑張りたいのです。

 

会社の目標と個人のそれを

うまく結び付けられるかで

個人の頑張りが変わって来ます。

 

 

すなわち、

そこが経営者や管理職の

腕の見せ所であり手腕だと思うのです。

 

貴社の社員の

頑張りたいという気持ちを

きちんと汲み取れていますか?

 

削いでいませんか?

くすぶらせていませんか?

諦めさせていませんか?